更新日:

スポーツバイクを長く使うためには各部の調整が必要

各部の調整が必要

ベアリングによってスムーズな回転が実現される
BB (ボトムブラケット)はフレームのハンガーシェル部分に装着されることにより、クランクを支える役目を持っている。BBは、左右のワン、ベアリング(リテーナー)2セット、ハンガーシャフトにより構成されるのが通常だ。

その仕組みは、左右のワンに対し1つずつのベアリングが収まり、ハンガーシャフトによりそれが挟まれる。ベアリングはハンガーシャフトがスムーズに回るように抵抗を減らすためのパーツだ。これが壊れてしまうとその動きは渋くなってしまう。そのためにも、ベアリングを組み込む場合、グリスを塗る必要がある。グリスはベアリングと、玉当たり部分に油の膜を作り、お互いの摩擦抵抗を少なくする役目がある。

フレームヘの取り付けは、ハンガーシェルにねじ込むようにできている。その際、ハンガーシャフトの回転の軽さを調整できるようにもなっている。以前はこのようにシャフトの調整ができるBBが多かった。
これに変わって最近では、ベアリング部にシールドベアリングが使われている、いわゆるカトリッジ式BBと呼ばれるモデルが多い。

このタイプは、従来モデルのように、分解がほとんど効かず一体型になっている。したがってBB取り付けの時にシャフトの調整などを行う必要がなく、ベアリングとシャフトが一体となったユニット部分を、左右のアダプターで押さえつければいいので簡単に取り付け可能だ。シマノはデュラエース以外の全モデル、カンパニョーロは全モデルにこの方式が採用されている。

しかし、シマノの新型デュラエースの場合、通常のBBとは形が異なる。軽量化を計りながらBBの強度をアップさせるために設計された特殊な形状だ。
基本的には従来式のシャフト調整が可能な方式だが、シャフトが大口径なものを使用しているため、従来のテーパーシャフトのBBとは全く異なる。


ブレーキとシフトが同時にできる手元変速システムが主流
ライダーの変速したいという意志を前後のディレイラーに伝える装置がシフトレバーだ。ワイヤーによってディレイラーと繋がれ、シフトレバーを動かすことにより、一定量のワイヤーが巻き取られ、変速するシステムになっている。現在の変速システムの主流はインデックス式で手元変速が当たり前だ。

しかし、80年代中盤までは、シフト操作はライダーの経験と勘によって行われてきた。これを変えたのがシマノだ。84年に発表した7400系デュラエースに搭載された新しい変速機構「S IS』(シマノ・インデックス・システム) は、シフトレバーにラチェットを設け、レバーを―段分ストロークしたときのディレイラーの動きをコンピューターで計算し、それに合わせてワイヤーが一定量巻き取られ変速するという新しいシステムだった。

このインデックスシステムは、それまでライダーの経験と勘に頼ってきた変速操作をデジタル化することで、ビギナーからトップライダーまで変速操作を確実なものにした。そして、変速システムは、インデックスの時代に突入した。

90年代に入るとシマノは、インデックス機構をそのままブレーキレバー部分に内蔵したデュアルコントロールレバーを発表する。それまでの変速操作は、フレームのダウンチューブにあるシフトレバーを操作して行うのが通常だった。

しかし変速の都度ハンドルバーから手を離すことは、変速はロスやビギナーライダーには危険な行為だ。そこでこの手元で変速が可能なデュアルコントロールレバーが発表されたのだ。
デュアルコントロールレバーは急速に広まり、遅れること2年、イタリアのカンパニョーロまでも手元変速のエルゴパワーを登場させた。

その操作方法は、デュアルコントロールレバーの大きなレバー部分(Aレバー)を内側に倒すと、ディレイラーはロー側に変速し、小さいレバー(Bレバー)を押すと、トップ側に変速する。カンパニョーロのエルゴパワーの場合は、デュアルコントロールレバーのBレバー部分と同じ位置に付いているレバーを押すとロー側に変速し、ブラケット横のレバーを押せばトップ側に変速するようになっている。フロントディレイラーの場合、基本的な操作は変わらないが、ギヤの『重い→軽い』の方向が反対になる。

1回レバーを押すと、シフトユニットの中にあるギヤにラチェットが引っかかる。そしてワイヤーが巻き付けられて、ディレイラーが1段分横にスライドして変速する仕組みになっている。この1回のアクションでディレイラーが動く量は、ワイヤーの微妙な張り具合によって機能が保たれている。変速する作業はワイヤーによる遠隔操作なので、常にワイヤーの状態をベストにしておくことが大切といえる。


スピードコントロールを行い、バイクを止める命綱
ブレーキはスピードコントロールして、バイクを停止するための重要なパーツだ。ブレーキもまた、変速システムと同じようにワイヤーによるリモートコントロールで動く仕組みとなっている―フレーキレバーを引くと、ブレーキアーチに固定されたワイヤーが引っ張られる。するとブレーキアーチがリムをはさみ、リムとブレーキシュー、路面とタイヤのそれぞれの摩擦抵抗により制動は行われる、いたって簡単なシステムだ。だからこそブレーキの性能を十分発揮するには、ワイヤーの状態を常にベストにしておくことがメンテナンスの基本となるのは言うまでもないだろう。

現在のロードバイクのブレーキ本体は、ワイヤーを片側から引くサイドブルタイプ。このサイドブルタイプでも、従来タイプのシングルピボットと、シマノ・デュラエースやカンパニョーロ・レコードのようなデュアルピボットモデルに分けられる

デュアルピボットブレーキは、90年にシマノが発表したシステムで、比較的新しい機構と言える。しかし、そのシステムは急速な勢いで広まり、今では従来からのシングルピボットのモデルは、ほとんど見かけることがない。さて、デュアルピボットブレーキの構造だが、ブレーキワイヤー固定ボルトから右のブレーキシューを止める部分までのアーム(シマノではCアームと呼んでいる)と、フレームに固定され、ワイヤー調整ボルトから左のブレーキシューを止める部分までのアーム(Yアーム)の2つの大きなパーツ(アーム)がメインにブレーキは構成される。そして、この2つのアームが右サイドにあるピボットボルトにより固定され、合体している。Yアームにもピボットボルトがあり、フレームに固定されている。

従来のシングルピボットブレーキでは、これら2つのアーム部分が同じピボットを供用していたので(ピボットがアーチの中心部にあった)、ブレーキの左右のアームにかかる力が不均衡になっていた。
しかし、デュアルピボツトの場合、2つのアームに対してそれぞれの支点を設けているので、左右のアームに対して均一の力がかかることを可能にしている。

コンピューター設計で効率良い変速を約束
カセットスプロケットはフロント同様、変速性能をアップするためコンピューターにより設計が行われている。そもそもこのシステムは、シマノがMIBのコンポーネントで最初に取り入れた機構でHG (ハイパーグライド)と呼ばれている。それぞれの歯には、シフトアップとシフトダウン時のポイントが設定され、それに合わせた加工がされている。

変速時にスプロケットをよく見ると、あるポイントをきっかけにチェーンがロー側に上がったり、トップ側に落ちて行くのが分かるはずだ。カセットスプロケットの中の1枚のギアは変速ポイントからそれが終了する地点まで、段階的に歯先の形状が変化しているの。このように歯先を加工することで、変速スピードを飛躍的に向上している。さらに変速時、ライダーに対するショックが少なくなっている。もちろんこのギヤシステムを機能させるには、HG対応のチェーンが必要になる。

簡単にペダルをキャッチ&リリースできるビンデイング機構
ロードバイクに乗る場合、乗り手の脚力を最大限に発揮するため、走行中は足とペダルが固定される。これを実現するには専用のペダルとシューズが必要となる。そのペダルシステムの中で、最も多く使用されているのが、ビンディングシステムだ。

このシステムはペダル内部にバネが内蔵されその力を利用してレーサーシューズを固定するという機構になっている。シューズとペダルが固定されるには、クリートと呼ばれるアダプターが存在する。ベダルにシューズを固定する時は、このクリートのツメ部分がペダルを引きつけて、地面に対して体重をかければ固定される。

外すときは足を外側にひねるだけで簡単に行うことができる。
クリートの位置は、それぞれのライディングフォームに合わせて、角度や前後位置をシューズの調整範囲内で微妙にセッティングできる。

この記事を見た人は、一緒にこんな記事も読んでいます!