日本は23Cが主流。25Cタイヤのメリットはあるの?
日本ではまだまだ23Cが主流。ほんとうに25Cタイヤのメリットはあるのでしょうか?
走行中のタイヤにかかる抵抗はおもに転がり抵抗、路面との摩擦抵抗、空気抵抗の3つが考えられます。
まず摩擦抵抗とは路面との摩擦で生じるもの。空気抵抗も含めタイヤが太くなることの影響を考えると摩擦抵抗も大きくなり、さらに重量が増えれば上りでバイク全体にかかる登板抵抗も大きくなります。
いっぽうタイヤが太くなることで転がり抵抗は少なくなり25Cタイヤにアドバンテージがあるということです。
ちなみに2013年のタイム卜ライアル世界選手権では24Cタイヤで優勝しており、太いタイヤのメリットはほぼ間違いなさそうです。
タイヤの接地面を計測
23Cと25Cの違いは正直どれくらい違うのか?ということであくまでも簡易的な試験とお断りした上でタイヤの接地面の魚拓ならぬ"タイヤ拓"をとってみた。23Cと25Cのタイヤの太さは約2cmの違い。
さらに接地面の違いとなるとほんとうに微々たる違いだ。つまり細かい空気圧、タイヤの接地圧の違いで"タイヤ拓"は変わってしまう。
できるだけ条件が一定となるようにローラー台を活用した簡易装置を用意してみた。エクステンザR1Xとマヴィックの23Cと25Cを比較。それぞれ3回ずつ"タイヤ拓"をとり、サイズを計測した結果は、ほぼ同じ数値でした。
太いタイヤのほうが転がり抵抗が小さい。これは理論的に確かで、タイや太くなると接地幅が広くなり接地長が短くなります。タイヤの縦変形が少なくてすむことで転がり抵抗が少ないということになります。
33Cと38Cとでの比較実験の例です。同一銘柄の軽快車の転がり抵抗を推奨空気圧下でフォース法による実験を行ったところ33Cの方が9、5%転がり抵抗が大きいというデータがあります。
これをスポーツ車の適正空気圧下で23Cと25Cの比較を行えばおそらく 5%以下ですが、転がり抵抗に差が出て、25Cの方がこの面では優位になります。あくまで太いタイヤの方が転がり抵抗が小さいという前提には、比べる細いタイヤに対して、空気圧、荷重が同じという条件付きです。
タイヤの太さが違っても空気圧が同じなら乗り心地はさほど違わないかもしれない。ただ、同じ条件ならば25Cのほうが23Cに比べ転がり抵抗が少ない、つまり同じ転がり抵杭にできるなら25Cのほうがその分空気圧を下げることができ、クッション性を高くすることができる。さらに23Cと25Cを比較するとタイヤの周径も大きく、同じケイデンス、同じ出力であれば25Cのほうが速く進むという見解もあります。
23Cと25Cの比較
23C タイヤ幅24.3mm タイヤ高24.7mm
25C タイヤ幅25.1mm タイヤ高25.4mm
20c、23C、25Cとあった時、太くなれば太くなるほど地面との接地面積は減る。そのため、同じ構造のタイヤで同じ材質であれば、25Cが一番転がり抵抗が少ない。
次に重量。20Cが一番軽く、25Cが一番重い。
グリップ力は25Cがいい。
振動吸収性。太いほうがエアボリュームがあるため、振動吸収性は一番いいです。
最近は25Cタイヤも増えてきていますが、メーカー担当者は23Cが転がり、グリップ、重量の面で一番バランスがいいと考えているようでした。転がりがよくてもタイヤの重量が重いと、200キロとか走ってアップダウンのあるコースでは不利になる。
20Cでは軽量性は魅力だが、グリップ力や振動吸収性などに劣る。
通常のロードレースでは、23Cが一番バランスがいいという評価になっているようです。
ただし、まだすべてのタイヤメーカーが25Cのレース用を作っているわけでもありませんし、プロショップに行っても25Cの在庫は皆無に等しいくらいです。タイヤのチョイスという意味でも、まだ23Cのほうが優位ではないかと思いますね。プロの人達も、メーカーから供給を受けて走っているので、何らかの政治的理由で25C・・・なんてことはさすがにないとは思いますけど。
アタックなどの瞬間の反応が求められるレースやタイムをねらうヒルクライムでは23Cを、安心感(グリップ)と体への負担の少なさ(振動吸収性)、巡航性が重視されるロングライドには25Cが適しているといえます。
ロングライドでは峠でスプリントのようなもがきはしないですからね。また、ツーリング的な視点で見ると、25Cには耐パンク性の向上という大きなメリットが加わります。レースとロングライドではスピード域や楽しみ方が違うので、それぞれの楽しみ方に応じてどのような性能を求めるかを考えて選択すべきです。
ホイールまわりのフィッティングQ&A
自転車の肝心カナメが、タイヤをメインとするホイールまわり。ライダーの走り方や好み、そして路面にフィットしたホイールがなければせっかく自転車を体に合わせても意味がない……、それぐらい重要です。
Q.スポークが切れることがありますが、不良品?
A.体重のせいということもあります。
ホイール全体の強度は、リムやスポーク自体が持っている強度だけでなく、組み方やスポーク本数によっても左右されます。ですから、一概には言えないのですが、スポークがひょんなことで切れてしまうようなら、体重に対してスポークが細すぎないか疑ってみるといいでしょう。
細すぎるスポークは軽量化には貢献しますが、細い分だけ伸びやすく、ストレスが集中する首(曲かっている部分)で折れてしまうのです。
完組みホイールでは、ライダーの体重制限を規定している場合も。軽量なホイールほど制限重量も軽くなります。いっそのこと体のほうを軽量ホイールにフィットさせると、相乗効果でさらに速く走れるかも
Q.タイヤって一本だけじゃダメですか?
A.用途に応じて使い分けましょう。
自転車の中で最も重要なフィッティングパーツがタイヤですね。タイヤが路面を引っかく摩擦力で進み、曲がり、止まるわけですから、何より路面状況にフィットしたタイヤを選ばないといけないわけです。
路面状況だけでなく、用途にフィットさせることもポイントです。ロード用とMTB用ともに、まず欠かせない一本としてオールラウンドなコンディションに合ったものを選びます。といってもすべての路面をカバーするわけではありません。
ドライをベースにちょっと荒れたり濡れたりした路面でも割と平気、ぐらいに考えてください。あとはウェット、マット用があれば十分です。
余裕があれば、ロード用ならヒルクライムに使える軽いものや、耐久性の高い通勤用。MTBならブロックが小さく走行感が軽いドライ用、やや幅が太くブロックのしっかりしたフリーライド向けがあれば贅沢です。
またツーリング用はオンロードだけなら耐久性の高いものを。要求される耐久性やパンクのしにくさといった性能は通勤タイヤと似ています。オフロード向けなら、コースにもよりますが、センターフロックが連続しかタイヤがいいでしょう。
ちなみに前後とも同じタイヤで揃える必要はありません。前後に違うタイヤを履かせるとツウっぽいしね。ただし、原則として前輪側には最低限必要と思われるグリップカを確保したタイヤを履かせるようにしましょう。後輪は滑っても大ケガすることはあまりありませんが、前輪が滑ってしまうとまず転びますから。
Q.長距離を快適に走れるようにしたい
A.チューブを換えるだけでも快適になります。乗り心地の良さでいうなら、ロードはチューブラータイヤ(タイヤの中にチューブを封入したもの)、MTBならチューブレスタイヤ(チューブを使わないもの) がありますがリムも専用品が必要になります。でもチューブを換えるだけでも乗り心地って変わるんです。
同じ素材でも薄くなればその分だけソフトな感触になり、軽量化もできます。乗り心地を追求したチューブもあります。軽く乗り心地のよいチューブとしてウレタンやラテックスを使ったものがありますが、これは空気がすぐに抜けるのが欠点です。
Q.MTBに細いタイヤを履かせても大丈夫?
A.ギヤが足りなかったり、ハンドリングが不安定になる場合も。どれくらいを細いというかが問題ですが、たとえば一時期、街乗りMTBなんてのが流行った頃は1.25インチ等、ロードバイク並みに細いタイヤを履かせたりしてました。
ところがハンドリングやギヤ比までずいぶん変わってしまうんです。もともと2インチ前後の太さに合わせて設計されたフレームなので、1.25インチとなるとホイール径がかなり小さくなり、ハンドリングがクイックすぎて安定感に欠けます。
また普段はあまり使わないトップギヤですが、タイヤ周長が小さく回転数が上がるので、下りではギヤが足りなくなります。
こうなると、ロード用のコンポを使ってチェーンリング( 前ギヤ)を大きくするか、フリーホイール(後ろギヤ)を小さくするか。もしMTBにオンロードメインで乗っているなら、700Cホイールを用意するのも手です。巡航性も高いし、安定感もあります。もちろん、直径はあまり変わらないのでギヤ比の心配も無用です。
Q.しょっちゅうパンクに悩まされています
A.タイヤの空気圧は大丈夫ですか。
釘とかは踏んでいないのにパンクしてた、なんて人は空気圧を疑ってみてください。フロントタイヤがベコベコだったりしませんか?タイヤはゴムではなく空気が衝撃を吸収・減衰してくれるサスペンションでもあるのです。
タイヤが太いほどエアボリュームは大きく、空気圧は低くなります。MTBの場合は2~3気圧あたりです。まれにヒルクライムオンリーでは5気圧ぐらいまで高めることもあります。
ツーリングタイヤとなると4~7気圧ぐらいで走りの軽快感と乗り心地の良さを両立できる太さのタイヤで。細くても25Cぐらいの夕イヤを使いたいところです。ロードバイクなら7~10気圧ぐらいといったところでしょうか。
空気は意外と早く抜けていくのです。しかも高圧のロード用タイヤなどはせめて2日に1回はエア圧チェックをしたいところですね。