最初の自転車レースと自転車が普及するまでの歴史に迫る
自転車は、ご存じのとおりですが、2つの車輪を前後に直線に並べ、人力で駆動して走る二輪車です。
ドイツのドライスが1813年に発明し、このころの自転車は木製の足けり式だったのが特徴です。自転車はイギリスに渡り、1870年代に男性の娯楽として注目されはじめました。
その後、2つの重要な発明チェーン駆動と空気タイヤがあり、男女や年齢を問わず、実用性と娯楽性で人気を得ました。
イギリスの自転車ブームは1895年に頂点に達しましたが、ピークの少しあとの1900年にロンドンに留学した夏目漱石は、下宿の女主人の強いすすめで、自転車の練習を試み、悪戦苦闘ぶりを書き残しました。
漱石は運動神径が良かったのでしようか。日本では1870年に、はじめてアメリカから輸入され、90年に宮田栄助が国産第1号のダイヤモンドフレームのセーフティ型自転車を製作しました。明治時代には主要都市で貸自転車業が流行し、個人用は富裕層のステータス・シンボルとなりました。
最初の自転車レースは明治29年に、上野不忍池畔で大日本双輪俱楽部が開催し、不忍池畔は自転車レースのメッカになりました。1900年ころから本格的な生産がはじまり、自転車の保有台数は明治末の約40万台から大正末に470万台に達し、それ以来通勤や業務になくてはならない交通機関になっています。
自転車は、戦後の復興期にも輸送や通勤、通学に大きな役割を果たし、昭和20年代は、子どもでも車輪が大きい実用車に乗り、三角形のフレームの真ん中に右足を入れペダルを漕ぎました。不安定な姿勢でスピードは出ず、悪路だらけでよく転んだ人もいました。当時は軽快車もなく、女の子も勇ましく三角乗りをしていました。