更新日:

自転車通勤を快適にする7か条と走る道の選び方の極意を紹介

ニッポンは自転車活用後進国?
国内外の自転卓政策の調査研究をしている、NPO自転車活用推進研究会の理事長・事務局長を務める人によると、自転車通勤者は、2000年ごろから急速に増えているそうだ。理由はいくつかあるが、健康や環境を意識する人が増えたことが考えられるそう。そして昨今の自転車ブームや経済的な事情もあり、来年に予定されている国勢調企では、いったいどれだけ増えているのか、その数は未知数という。

一方で、日本は欧米に比べて「自転車活用後進国」である。自転車人口が増えたのに比例して、自転車事故も急増しているとか。道路を利用する人たちのマナー向上や道路環境の整備、交通安全教育の見直しなど、自転車を受け入れる社会全体の環境整備は、まだまた立ち遅れているというのだ。

じゃあ、自転車活用先進国の欧米はどうなってるの?
欧州では、国による自転車道の整備や、自動車が人や自転車を敬うルールや習慣が根付いているという。特に中心街や密集地、住宅街などでは、「ゾーン30と呼ばれる、自動車の最高速度が30キロに指定された場所も多くある。

アメリカでは、91年に歩行者や自転車へ配慮された連邦法が制定され、アメリカ中で自転車道が整備され始めたそうだ。さらに小学校低学年からの交通安全教育を徹底し、00年には自転車死亡事故が半減したというデータもある。
通勤という面では、駐輪場やシャワー、ロッカーの設置など、社員が自転車通勤しやすい環境を整えた企業は法人税が安くなったり、環境整備のための助成金もあるようだ。

そういえば、ロサンゼルスにあるアメリカホンダ(HRA)では、社員の健康とメンタル、企業の環境への取り組みとして、「5マイル以上の自転車通勤者には、ガソリン代の倍の通勤手当が支給される」なんで聞いたことがある。自転車通勤で、不健康な社員も減り、企業にとっても○印ってワケ。
「日本で自転車通勤を奨励している会社ですか?残念ながら都市部の大手では聞いたことがないですね」そう聞くと、日本って確かに遅れてるな


自転車通勤に追い風となる環境の整備が進んでいる
自転車の活用を積極的に取り入れた街づくりも始まっている。千葉県柏市の、公(千葉県、柏市)・民(企業、市民)・学(東大、千葉大)が連携し、計画的に新しい街づくりを行う「柏の葉国際キャンパスタウン構想」がそれ。構想の中核にあるのが、全国トップクラスの自転車環境に優れた街づくり。自転車や公共交通を中心に、地球と人に優しい移動環境の整備を目指す。

既に自転車道を整備。駅周辺にはレンタルサイクルがあり、通勤や通学、観光や買い物で訪れた人たちが、レンタルサイクルで目的地まで移動できるようになっている。

自転車利用者を受け入れる、社会全体の環境の整備は少しずつだが進んでいるようだ。
「それと同時に、健全で正しい乗り方ができる自転車利用者が増えることも重要」と指摘する。自転車の事故が減ることで、企業側の自転車通勤奨励にも繋がるというのだ。


快適な自転車通勤を約束する7つの心得
一、疲労を溜めないためには正しい姿勢で乗車するべし。

二、最短距離をかけ抜けるのか。景色を楽しみながら行くのか。道選びが自転車通勤の質を決める。

三、上り坂は細かなギアチェンジで克服すべし。

四、自転車通勤をしたいのならばバンクは自力で直せるようにすべし。

五、道路交通法に則って、思いやりのある自転車通勤をするべし。

六、自転車事故を未然に防ぐための危機予測能力に磨きをかけるべし。

七、服装は何だっていい。問題は会社に着いたあと、快適に仕事ができるかだ。


片道20kmでも疲れないスポーツパイクの乗り方
自転車に乗れない人はまずいないだろう。
だが、正しい乗り方は? と言われると、うまく説明できないのでは? 当たり前の動作こそ、実は奥が深い。それがスポーツバイクの乗り方だ。

肘は適度に曲げるヒジが伸びたままでは段差の衝撃がダイレクトにかかるので、適度にヒジを曲げてショックを和らげよう。また、ヒジを外に開きすぎても手首に負担がかかる。
ヒジをかるく下げるイメージがちょうどよい。

手首は曲げない
手首から、ブレーキにかけた指までが、まっすぐになるように保つ。手首が下に曲がったまま長時間乗ると手首を痛める。またブレーキを握る指は人差し指と中指の2本が望ましい。残りの指はグリップを握る。

ちょっとの違和感でも長く乗ると痛み出す
今までの乗り慣れていたシティサイクルとは違い、クロスバイクをはじめとするスポーツバイクでは、正しい乗車姿勢で乗らなければ、からだを痛めたり、怪我をすることがある。

自宅とスーパーの往復だけだった人も、スポーツバイクを買えば、自宅から会社、または週末のサイクリングなど乗車距離が格段に増えるだろう。距離が増えるということは、それだけからだへの負担も大きくなるということ。

最初はちょっとした違和感であっても、その体勢を長時間続けることで痛みへと変化する。特に、手首を曲げた状態で長時間乗り続けて、けんしょう炎になるケースが多い。

自転車に乗る時に気をつけてほしいのは、ハンドルの握り方とヒジの使い方、それにベダルの踏み方と腰の角度だ。これらに気を付けながら乗ることができれば、からだへの負担を最小限に抑えられ、長距離でも乗り続けることができる。

また、視線が下がりやすいクロスバイクやロードバイクでは、意識的に目線を上げて乗らなければ衝突事故にもつながる。疲労がたまるとどうしても頭を下げがちだが、そんな時でも目線を上げて正しい乗車姿勢をとることが大切。


走る道次第で毎日の自転車通勤も楽しいサイクリングになる
暑苦しい満員電車から解き放たれるだけでも、自転車通勤をする価値はある。
しかし、走るコース次第では、さらに楽しく通勤することができる。

車道
自転車通勤のメイン道路は、やはり車道。整備されたコンクリートは路面抵抗も少なく、なかなか走り甲斐がある。ただし路上駐車には気をつけよう。
またドライバーとのコミュニケーションを心がけ、譲り合いの精神を持とう。

メリット
・最短距離で会社に行ける
・スピードを出せる

デメリット
・排気ガスがひどい
・車との接触事故の危険性がある

基本は車道で歩道と裏道はサブで活用
日本国内での自転車通勤における最大の問題点は、自転車専用道路が整備されていないところにある。車道を走ればドライバーに邪魔者扱いをされ、歩道を走れば歩行者を危険にさらすことになる。

歩道
赤道はあくまでも車道が通れないときの避難として活用し、車道寄りを徐行しよう。歩行者が極端に多くなる駅前などでは無理して乗るのではなく、押していく方が安全だ。

メリット
・スピードを出さなければ安全
・車との接触事故はない

デメリット
・基本的には走行禁止
・歩行者との接触事故の危険性がある


裏道
一般的な裏道は信号がないので一見走りやすそうだが、その分歩行者やほかの自転車が急に飛び出してくることが非常に多いので注意が必要。逆に国道と並行しているようなまっすぐ延びる裏道は、使い方によってはおすすめだ。

メリット
・信号が少ない
・段差がない

デメリット
・車や歩行者の急な飛び出しがある
・スピードを出しづらい

川沿い
たとえ最短距離でないにしても、たまには早起きして川沿いを走ってみるといい。排気ガスで顔が汚れることもないし、ノンストレスで自転車通勤を満喫できる。

メリット
・ストレスを感じずに走れる
・リフレッシュできる

デメリット
・多くの場合遠回り

文字通り板挟み状態だが、健康にも自然環境にもいい自転車通勤は、やっぱり止められない。だからこそ、周りとうまく折り合いをつけながら続けていく必要があるのだ。

基本的に都市部のように道路網がしっかりと整備されている地域であれば、やはり車道を走るのがベター。直線が多いし、路側帯を走る分にはそれほど危険もない。問題は路上駐車をしている車を避ける時や、タクシーやバスをかわす時だ。

一方、歩道や裏道はあくまでもサブ道路として捉えておいた方がいい。これらの道をメインにするのは危険が多すぎる。歩行者の動きは予測不可能だし、駅前などでは人が多すぎて、とても自転車が通るスベースはない。

そもそも道路交通法上では、基本的に自転車は車道を走り、危険と判断した時のみ歩道を走行することができるのだ。車が少ない裏道に関しても、歩行者やほかの自転車が急に飛び出してくることが多く、出会いがしらの事故につながることも少なくない。

また、少し考え方を変えてみれば、せっかく自転車通勤をしているのだから、何も最短距離で会社を目指さなくても良い、たまには遠回りでも、ちょっと早く家を出て川沿いや緑道沿いなどを走りながら会社に行くのもいいだろう。

朝からマイナスイオンを浴びて会社に向かえば頭もリフレッシュして、仕事がはかどること間違いなし。
この記事を見た人は、一緒にこんな記事も読んでいます!