こんなに違う!ロードバイクとMTBの乗車ポジションを徹底比較

乗車姿勢はこんなに違う!
ロードバイクとMTBの基本フォームの大きな違いは、走行するフィールドに起因している。
ロードバイクは良好なコンディションをもつオンロードでの走行を想定している。そのためにスピードを維持するフォームをとった場合、それは空気抵抗をできるだけ少なくするポジションをとる必要がある。
ドロップハンドルを使用するためにトップチューブもMTBより長めで、前につき出したフォームをとる事が可能だ。
次にこのポジションをMTBがとった場合はどうなるかを想定してみたい。コンディション変化の激しいオフロードでは、ライダーとバイクの合成重心が前方に移動してしまう。
さらにそのポジションはサスペンションが常に縮みやすい条件を生み、前方に重心が移動することで転倒しやすい状況を作り出してしまう。
MTBは簡単に重心が移動しやすい条件なのでホイールベースを長くするなどして、より安定性を増していく必要がある。加えてBB位置を障害物からの回避能力により高く設計されている。
ロードバイクは3ポジションを意識してフィッティング
ロードバイクはハンドルを持つ場所がたくさんあるため、どこを持ってもフィッティングには関係ないと言われそうだが、実に多くのライダーがこのたくさんあるポジションのすべてを満たすハンドル位置を特定するのに苦労している。
では代表的なポジションを同じ自転車の中で想定してみよう。まずは基本ポジションでもあるブラケットポジション。いつでもブレーキコントロールをできるために比較的に一定ペースで走る時に使用する。次にドロップポジション。スピードの上がる場面では空気抵抗軽減と低重心化をはかる必要があるのでこのポジションになる。
最後はバー中心を持つセンターポジション。ヒルクライムなどリラックスを目的としたポジションだ。
MTB は「動」、自由に動けるポジションを意識
ロードバイクが下半身をほぼ固定して「静」のライティングに対して、MTBは前後上下に移動するいわば「動」のライディンクを要求される。いくらサスペンションが発達してもライダーである人間の重量がバイク全体の重心を決定づけている事は言うまでもない。
時にはサドルから腰を上げてバイクにかかる重量を抜いてやる、いわゆる「抜重」や急激な下りに対応して腰を思いっきり引き、サスペンションのストローク運動を補助する。サドルにしっかり腰掛けるロードバイクに比べMTBは非常に「動く」フォーム。これは常に変化する路面に対応する体の動きこそが最大のサスペンションだからである
ロードには「基本ポジション」というものが長い歴史の中で、ある程度研究されている。そのポジションには距離やスピード域の違いによってかなりの違いがある。上半身の傾斜が微妙に違うのは設定するスピードの違いなのである。
レース用のロードバイクは長距離巡航に対応するために後乗りを実践しており、それにふさわしいペダリングを実行するためのフォームを取っている。フラットバーロードの速度域もロードバイクとそれほど変わらない。
ただし、町中における障害物への回避行動を想定したフラットバーを採用しているために、短距離に向いた上体の起きたフォームを採用している。TTバイクは非常に空気抵抗を意識したフォームで高出力型短距離フォーム。
MTBが誕生した時には上りも下りもシングルトラックもすべて一台のMTBでライティングをするのが当たり前だった。それが現在いろいろなカテゴリーに細分化していった背景にはそれだけ遊ぶフィールドに適したMTBが開発されてきたことに尽きる。フレームのみならずサスペンションに代表されるパーツがすさまじく進化しているのは周知の事実だ。
その本流にあるのがフルサスバイクだろう。長時間のオフロード走行に疲れを最小限に留める機構を持っているのでレース用バイクほどきついポジションを強いられることもなく、長距離ライトを楽しめる。対してツーリング用はよりラクチンポジションを、レース用はよりスピードを重視したポジションを取る。