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ロードレースで有利なコースどりや山岳ステージについて

監督と選手は無線を使って戦略を練る
チームプレイであるロードレースは、選手全員が無線をつけている。マイクもついており、クリップで胸元に留めてある。そのマイクにはスイッチがあり、それを押すとしゃべれるようになっている。しゃべった声はレースに帯同するチーム内の監督、そしてほかの選手にも聞こえる。もちろん、監督の声も選手に聞こえる

この無線を使って、例えば選手は「パンクした!」と監督に伝えるし、監督は「もうすぐ道幅が狭くなるから、前へ出ておけ」などと戦略を 選手に伝える。このほか、先頭選手、ライバル選手の位置やタイム差、天候や路面の状態なども伝えられる。

監督がどれだけ指示を出すかは、監督のタイプによるようだ。選手に任せるタイプなら、連絡事項以外はほとんど無線を使わない。監督の采配がモノを言うチームは、細かい動きまで指示が出る。そういう意味では、チームごと一緒にレースをしているようなものと言える。


コーナーは先頭で入ったほうが有利。コースを読む力も必要
コースにある直角に近いコーナー、または説角のコーナーは、先頭で入ったほうが有利だ。
コーナーに入るときは、必ずブレーキをかける。1人目がブレーキをかけると、2人目、3人目も当然ブレーキをかける。そのブレーキをかける時間は、後ろに行けば行くほど長くなっていく。高速道路で誰かがブレーキをかけることによって、渋滞が起こる現象と同じだ。コーナーに先頭で入った選手は、充分にブレーキをかけ、安全にコーナーをパスし、一気にスピードを上げて先を行く。

2番目の選手は、先頭の選手よりも長くブレーキをかけさせられ、先を行く選手を追う。この現象は後ろへ行けば行くほど厳しくなる。
特にコーナーの多いコースだとコーナーのたびにブレーキをかけ、先頭を追わなければならない。レースをしながらインターバルトレーニングをさせられているようなものだ。

だからこそ、コースを読む必要が出てくる。ツールの場合、毎年コースが変わるのでコースを事前に把握することはできないがワンデーレースやステージによっては、同じコースを走る場合もある。また、街中に入ると、おのずとコーナーが多くなることもわかる。

コーナーは、選手にとって気をつけなければならない箇所であるし、逆に言うと、後続を引き離す勝負のポイントでもあるのだ。道幅が狭くなるポイントは、なるべく先頭で入ったほうが有利道幅が狭くなる箇所もウィークポイントであり、勝負のポイントでもある。道幅が狭くなれば集団は一列棒状にならざるを得ない。

自転車の車長は約170 cm。200人の選手が走っていれば、170X200で一列棒状になった場合、先頭の選手と最後尾の選手の差は、約340mにもなってしまう。実際は車間距離があるのでそれ以上になる。

だから、「この先に道幅が狭くなる箇所がある」という情報が入れば、そこへ到達する前、我先に集団の先頭へ上がろうと、ちょっとした攻防戦がおこなわれる。いつも上位に名を連ねる強い選手は、こういうときにもキッチリと前へ上がってきているので、その辺りの勝負の上手さも観戦して欲しい。

山岳ステージに強い選手を、クライマーと呼んでいる。ツールの山岳ステージは厳しく、ここを越えないことにはパリのゴールへはたどり着けない。総合優勝を狙うオールラウンダーが、峠の先頭を上る実力があるのは当然だが、総合は狙えずとも、山岳賞や山岳ステージの優勝を狙っている選手を、特にクライマーと呼ぶ傾向にある。ただ、山岳賞争いに関しては、近年いまいち盛り上がりに欠ける。

獲得ポイントの高いステージを一発逃げた選手が、そのまま山岳賞ジャージをキープすることが多いからだ。いずれにせよ、以下の選手は山岳ステージでの活躍が期待できる。厳しい山道を飛ぶように駆け上がるその姿は、見ているだけで感動できるほどだ。

山岳ステージの山や峠では、これまで数々の名勝負が生まれてきた。そのため、その山や峠の名前は人々の記憶に刻まれ、そこを通過するステージは特に注目が集まる。最も有名なのは、アルプス山脈にある「ラルプ・デュエス」だ。標高1860m、上りの距離14km、平均斜度79%、最高斜度は10・5%にもなる。


【覚えておきたい山・峠】
アロス峠(2250m/21km/5.5%)
ラルプ・デュエス(1860m/14km/7.9%)
アラビ峠(1498m/11.7km/4.9%)
コロンビェール峠(1618m/11.8km/5.8%)
ガリビェ峠(2645m/33.7km/4.7%)
イゾァール峠(2361m/19.4km/5.9%)
ロータレ峠(2058m/25.5km/4%)
マドレーヌ峠(2000m/19.3km/7.9%)
ポルト峠(1020m/14.8km/5.5%)
テレグラフ峠(1566m/12km/6.7%)
デ・ザール峠(797m/9km/3.8%)
アスパン峠(1489m/12.5km/6.3%)
オービスク峠 (1709m/16.5km/7%)
ベイルスールド峠(1569m/13km/6.9%)
ポール峠(1249m/12.4km/4.9%)

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