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体型や体質に合ったトレーニングで筋肉をつけないと効果がない!

ウェイトトレーニングとは?
人間の動きは、筋肉と骨。関節との絶妙な連繋によって得られます。その力は筋肉が発します。自動車に例えると、心臓や肺や血管(血液)や消化器管が燃料系、骨格がシャシーで、それぞれの骨や関節や腱が駆動力伝達系、そして筋肉がエンジンに相当します。ドライバーは脳。中枢神経といったところでしょう。

筋肉には「縮む」という働きがあるだけで自発的に伸びるということはありません。それを「筋収縮」といいます。
筋肉の収縮はエネルギーの発露であり、力の発生を意味します。筋肉というエンジンは収縮することによって力を発揮します。収縮によって生じた力は、筋肉の両端を同じ力で互いに逆方向に引き合います。

人間の身体には約400種もの筋肉と200種もの骨があり、骨と骨は関節でつながり、骨格を形成しています。筋肉は骨と骨との間についているので、筋肉が収縮すると骨は関節を介して受動的に動かされます。

そのため収縮する筋肉によってさまざまな動きができるのです。身体を曲げたり伸ばしたり、ねじったり反らしたり、あるいは手首や腕を回したり(屈曲・伸展、内転・外転、回旋など)することがそれで、これらは動きとして示される力の表現です。これら動きの組合せが複雑な運動を可能にします。

筋肉を自発的に動かし続けると、筋肉自体に変化が起こります。筋肉が太くなり、筋力が強くなり、筋持久力が増します。これら目的のために、ある一定の原理・原則に基づいて筋肉を継続的に動かすことを「トレーニング」といい、その裏付けとなる根拠を「トレーニングの原理・原則」といいます。

筋力、筋持久力など、筋肉のどのような能力が高まるかはトレーニングの方法によって決まります。
筋力を向上させるにはいろいろな方法や手段がありますが、その基本は、筋肉(身体)に適宜な負荷をかけ、その負荷に対抗する力を自ら出して克服し、負荷を段階的に高めながら、それを継続していく方法です。

筋肉に負荷(ウェイト)をかけ、それを克服していくトレーニングを「ウェイトトレーニング」といいます。
そして、適宜体養と栄養をとりながら、目的に合わせ計画性をもってこれら一連の行為を継続実践してゆくことを「筋カトレーニング」と呼んでいます。



体型の違いとトレーニング
ウェイトトレーニングは正しいフォームで行うことが大切です。しかし、フォームが正しくても微妙な差が出ます。それは「体型」や「体質」によって刺激の伝達や効果に差が出るためです。そこで体型を考慮したトレーニングが必要になってきます。

人体類型
人間の体型、体質をタイプ別に分類することを「人体類型」といいます。この分野の研究の歴史は古く、その端緒は古代ギリシャ時代にまでさかのぼります。小学生の頃、運動会で駆けっこやマラソンの選手を選ぶとき「あの人は速そうだ」「あの人はスタミナがありそうだ」と外見で判断していたことはなかったでしょうか。実は、古代ギリシャ時代から白兵戦に備え屈強な兵士を選んだり、伝令として遠距離を速く走れる者を選ぶ時、身体つきを見て選んだそうです。他国を占領して奴隷が増えると体型別に分類し、目的の作業に向く者と向かない者に振り分けたそうです。体系立った分類が当時からあったようです。

賢者ヒポクラテス以来、多くの人体類型説が出ましたが、現在最も知られているのがシェルドンによる「胚葉類型」説です。
ここでは、このシェルドンの「胚葉類型」をもとに体型別のトレーニングを考えてみましょう。

胚葉類型
シェルドンは、人間は胎児期に、①神経系(脳、神経、脊椎)、表皮および表皮付属感覚器官(目、鼻、耳等)、②脊椎、筋肉、骨格、心臓、血管、生殖器、排泄器、体腔壁、③肺、消化器系(甲状腺、肝臓、すい臓)の二つのうちどの組織が大きく、早く発達するかによって差が生じ、三種類の体型、体質が形成されると説きました。神経型を「外胚葉型」、筋肉・骨格型を「中胚葉型」、消化器型を「内胚葉型」と分類し、それぞれの組織が極端に発達した場合を例示して三つの体型を想定しています。
実際は分類されているような極端な例は少ないのですが、便宜上その三種類に分けて考えてみます。

外胚葉型
外胚葉型の人は全体的に身体が平たくホッソリとしていて軽量、皮下脂肪が薄く、筋線維は遅筋線維が多く、筋持久力と心肺持久力に優れている。長距離ランナーやクロスカントリースキーヤーなど持久系の運動選手に多い。関節の可動範囲が大きくボクシングなどウェイト制のスポーツでは相手の選手より長いリーチとスタンスが武器となる。しかし、ゆっくりとした動作では力があまり出ない。

このような体型の人は広い可動範囲を活かす筋力をつけるために、まず軽い重量でウェイトトレーニングを行って、その後、段階的に強度を高めていくと柔軟性を失わずに筋力強化ができます。この時、自分より背の小さい人より重いウェイトが扱えなくても無理しないこと。手足が長く、そのぶん長い距離ウェイトを動かす結果になっているので、トレーニング強度にさほど差はないのです。

一度に多くの筋力を使うような運動にはあまり向いていません。体型的な特徴に加え、速筋線維の量が少ないためです。この少ない速筋を刺激するのに「10回持ち挙げられる重量を13~14回挙上できるようになったら負荷をアップする」といった一般的トレーニング法では速筋線維重視のトレーニングになりません。 一見、力がついたように見えますが、実は筋持久力に刺激のほとんどが伝わっているのです。つまり遅筋に作用してしまうのです。

外胚葉型の人の筋カトレーニングは挙上速度が決め手になります。
10回持ち上げるのに30秒かかっていたら、それを25秒で挙上できるようにする。それができるようになったら重量をアップする。
 
中胚葉型
中胚葉型の人は身体に厚みがあり、筋肉質で骨太。
首や前腕、ふくらはぎなどがよく発達し、力強さをイメージさせます。ホルモンの分泌も盛んで、トレーニング効果が良く、実戦向きです。関節も丈夫で瞬発力を出すのに好都合な体格で、高い負荷での運動を短時間に行うことに向いています。

この体型の人で、 いままであまり運動したことのない人は、最初ストレッチングと軽いエアロビック運動で柔軟性を高め、持っている強い筋力に負けないコンディションをつくることが必要で、その段階を経てから高強度のトレーニングを始めるのがよいでしょう。
また、筋力が強く、運動すると人一倍、身体に力が入ってしまう特徴があります。引きつける力、屈筋の力、特に上腕二頭筋や背筋力が強いのがこのタイプです。

ノコギリでモノを切るとき、日本人は引き、欧米人は押す、急に驚かされると日本人は身を縮め、アングロサクソン系は身体を反らせるといわれますが、こうした動作にも特徴がよく出ています。

屈筋と伸筋は拮抗関係にあります。例えば腕の運動で、アームカールのような屈曲運動の時は好都合なのですが、 エクステンション(伸展)動作の時も屈筋優位のため上腕二頭筋がリラックスしきれず、動作が硬くなります。これが俗に言う「ウェイトトレーニングをすると動きが鈍る」といわれる由縁になっているようです。
中胚葉型の人は、伸筋のトレーニングの時はトレーニング前にしっかリストレッチングを行ない、初め軽い重量でウォームアップし、十分に伸筋の動きと屈筋の弛緩を意識できるようにしてから重量をアップしていきましょう。

内胚葉型
内胚葉型の人は、身体が丸みをおびていて体組織が水嗜性細胞質で成り立つ傾向があるといわれ、可動範囲と柔軟性に欠けるさらいがあります。そのため、ゆっくりとした動作では力が出るのですが、速度に乏しく機敏性に欠けます。全体に脂肪が多く、腰部が太く、身長に対して体重があります。軽く中程度の負荷で高回数、短いインターバルのトレーニングを行うことで筋中脂肪を燃焼させ、次第に可動範囲いっぱいに大きく動かすことによって筋肉の強い収縮が可能になります。

トレーニング中、筋肉が最も収縮するところで1~2秒間、強く筋収縮を持続させるといいでしょう。
体脂肪の少ない人がこれをやると筋に強い痛みを感じます。同じような筋強収縮の痛みを感じることができれば脂肪が減ってきた証拠です。

内胚葉型の人は広可動範囲で強収縮、短インターバル、高レップ、そして大きく深く呼吸することによってより心肺持久能力の向上を図って下さい。


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