スポーツの種目によって鍛えたい筋肉もトレーニング方法も違う
スポーツ種目別トレーニング
テニス
●忘れてはいけない部位
手首・上腕三頭筋・大腿四頭筋
●筋トレ種目
サイドランジ
トライセプスエクステンション
フレンチプレス
前後左右への素速い動きに対応し全身の筋肉を反射的(瞬発的)かつ持久的なものに鍛える必要があり、ウェイトトレーニングとエアロビクスやプライオメトリックなどのドリルメニューをオン・オフ両シーズンに分けて組み合わせる。縦横なターン、激しいダッシュ動作のためにサイドランジ、力強いストロークを得るには上腕三頭筋の強化を。
ラケットを扱う手指から前腕~上腕三頭筋へのパワー伝達を念頭に、EZバーを用いたライイングトライセプスエクステンションで小指側を斜め上にして運動することにより三頭筋に強い収縮が得られる。サーブを強化するにはフレンチプレス。
やはりバーベルで行う場合はEZバー、ダンベルで行う場合はワンハンドで、小指を上にして挙上し、動作中、肘が曲がっている状態で三頭筋の収縮を十分に意識することが大切。片手で腕がふらつくときは片方の手で肘をサポートする。プーリープッシュダウンも三頭筋の収縮を得られる種目の1つで、使用バーは真直ぐな一文字型よりも小指側が下がつたくの字型のバーの方が三頭筋を意識しやすい。ストレート型バーしかない場合は親指を巻き込まずに五指を揃えて少し小指側に重心をかける気持ちで行う。
自転車
●忘れてはいけない部位
・三角筋・大胸筋・背筋
・上腕三頭筋・前腰骨筋
●筋トレ種目
アップライトロウイング
ベンチプレス
ディプス
トライセプスエクステンション
トゥレイズ
カーフレイズ
自転車は大腿筋群とともに大腿の筋力を支える体幹、ハンドルを引く腕力と肩、背筋などの強化が不可欠。ベーシックトレーニングは週3回のペースで、①大胸筋、肩(三角筋)、上腕三頭筋、②背筋、上腕二頭筋、前月墾骨筋、腹筋、③大腿二頭筋、大腿四頭筋、カーフの計10部位をバランス良くトレーニング。
①大胸筋、肩、上腕三頭筋はベンチプレス、ディップス、アップライトロウイング、ライイングトライセプスエクステンション、②背筋、上腕二頭筋、腹筋はロウイング、トゥレイズ、シットアップ、③大腿、カーフについてはスクワット、レッグプレス、カーフレイズなどが効果的。スクワットやレッグプレスはあまり深く膝を曲げすぎずにハーフレベルで行う。普段からスタンディングカーフレイズでカーフを強化しておくと、ペダルが下段にさしかかってからの踏込みやペダルの引上げが強くなりスピードがつく。
水泳
忘れてはいけない部位
・僧帽筋・三角筋・広背筋。大胸筋
・大腿四頭筋・ハムストリングス
・下腿三頭筋
●筋トレ種目
ブッシュアップ
ダンベルフライ
ラテラルレイズ
ベントオーバーロウイング
ブルオーバー
優れたスイマーは上体で水をかく力と柔軟性に富む。主に肩甲骨に付着している筋、腱を柔軟にして関節の可動域を広げ上体→体幹→下体の身体軸をつけるトレーニングを取入れると、身体の柔軟性を高めながら身体に張力がついて水中での筋力発揮を高める。柔軟性と筋力を生かすには身体軸の助けが不可欠。柔軟性、筋力、身体軸の三つの要素がバランスよく発達していることがトップスイマーの条件。
頸部のストレッチは胸鎖乳突筋や僧帽筋の柔軟性を高めることの他に、息継ぎ時のフォームの乱れを抑えるのに効果的。肩甲骨周辺のストレッチは広背筋の発達を促すことのほかに肋骨や胸郭の可動域を広め、肺活量を増やし、身体の浮力を高める。大胸筋が水面をプレスすることによって浮力を助けているので大胸筋の筋量アップが大切。また脊椎の柔軟性も重要で波の抵抗をはね返して泳ぐには上体と下体の強靭なしなりが欠かせない。
バレーボール
●忘れてはいけない部位
・大胸筋。大腿四頭筋
●筋トレ種目
バタフライ
ベンチプレス
ジャンピングスクワット
カーフレイズ
スパイクカ強化に肩、胸、ジャンプカアップに大腿強化が不可欠。
ウェイトトレーニングの他にプライオメトリック(筋や腱をエキセントリックに収縮=伸ばしてから、瞬時にコンセントリックな収縮=短縮させる、バネのような弾性値の高い動き)トレーニングやドリルメニュー、入念なストレッチングなどが不可欠。大胸筋、広背筋→大腿四頭筋。大腿二頭筋→腹筋・下背筋とサーキット的に週3回トレーニング。
それを3~ 4週間行ったら、次に1日目に①大胸筋・三角筋・上腕三頭筋・大腿四頭筋、 2日目に②広背筋・下背筋。大腿二頭筋・カーフ、 1日休んで3日目に③上体→下体・体幹部の連動トレーニングを行う。①と②のトレーニングで筋肉を個別に鍛え、休みを入れて③をサーキットトレーニングする。絶えず拮抗筋の筋カバランスを保つようにつとめるとともに、動作のキレを重視するのがポイントで、トレーニング中は意識的に一つひとつの動作を素速くし、メリハリをつけるようにする。
スキー
●忘れてはいけない部位
・僧帽筋・三角筋・上腕三頭筋
・腹直筋・大臀筋・大腿四頭筋
・ハムストリングス
●筋トレ種目
デッドリフト
レッグプレス
スクワット
トゥレイズ
上体と下体に分け、それぞれ体幹部の強化を合わせた2種類のものを週2~ 3回行う。上体(体幹)のトレーニングは胸部の筋量を増やすことにより転倒時の衝撃から上体を守るベンチプレス、背部の引き付けを強くする各種ロウイング、肩部は主に三角筋中部を鍛えるダンベルサイドレイズ、体幹部は滑走時の身体のブレを少なくし上体と下体の連動を良くするため腹斜筋を鍛えるダンベルサイドベント、頸部はバランスを保ち全身の平衡を保つネックエクステンション。
下体のトレーニングは大腿屈筋(大腿二頭筋など)を鍛えるレッグカール、大腿伸筋(大腿四頭筋など)のスクワットやレッグプレス、下背からハムストリングスにかけてのデッドリフト、下腿伸筋(前月墾骨筋など)のトウレイズなど。トゥレイズはゴムチューブの活用を。体幹部(下背部)は普通のバックエクステンションとは動作を逆にして下肢を上下させるリバースバックエクステンション。心肺持久力や柔軟性、瞬発力も不可欠でストレッチやマッサージ、プライオメトリクスを複合させると効果的。
バスケットボール
●忘れてはいけない部位
・僧帽筋・三角筋・上腕三頭筋
・広背筋・下腿三頭筋
●筋トレ種目
ベンチプレス
スクワット
レッグブレス
カーフレイズ
①ベンチプレス②スクワット③デッドリフト3種目を基本に、初心者は大胸筋、広背筋、大腿四頭筋、腹直筋、下背筋をサーキット的に3~ 4週間トレーニングしたら、①大胸筋、三角筋、上腕三頭筋、大腿四頭筋②広背筋、下背筋、大腿二頭筋、カーフ(ひらめ筋、腹筋)③上体・下体・体幹の連動トレーニングの順で1日目に①、2日目に②、 1日休んで③のセットルーチンを、上級者は①大胸筋、三角筋、大腿四頭筋②広背筋、下背筋、大腿二頭筋③上腕二頭筋、上腕三頭筋、カーフをマルチパウンテッジ法(最初100の重量で挙上し、持ち上がらなくなったら、あるいはある挙上回数まできたら重量を50あるいは40と減量してすぐ挙上する方法)で2セット行い次の部位へ移行するヘビーデューティトレーニングを行う。ヘビーデューティトレーニングは最多でも1日置きを限度とし、通常トレーニングが終了したら最低2日間は休み、これを3週間ほど行つたら次の1~ 2週間はそれより軽めのルーティンに戻す。
マラソン
忘れてはいけない部位
・僧帽筋・三角筋・大胸筋
・ハムストリングス
●筋トレ種目
ブッシュアップ
サイドレイズ
バックエクステンション
スクワット
レッグカール
マラソンや長距離走には身長に対して体重が軽く細身、皮下脂肪が薄く、手足が長く、そのため骨格筋が関節より近い部位に付着、あまり大きな力は発揮しにくい代わりに筋持久力があり、脊柱は生理的湾曲が少なく直線的、肩幅がそれほど広くなく骨盤も閉じ気昧で、膝を軽く前に出すように少し曲げていて爪先重心、腕が前方に出ていて動作が前方前屈動作に影響されやすい体型が向いている。
ウェイトトレーニングもこうした身体的特徴を崩さないようにするのが基本で、①胸郭を広げ過ぎない③肩甲骨に付着している筋を緊張させない③体幹部を強く回旋させない④大腿二頭筋・内転筋を緊張させない⑤大腿部のトレーニング時にワイドスタンスをとらない③立位で行う種目では重心を後方に移さないようにするためにカカトの下に1~ 2 cmの板などを敷いて爪先重心にする⑦12~10レップ以下の高重量はあまり使用しない③常に呼吸と動作のリズムをとり無酸素運動状態にしない、などに注意する。腕の振りに肩、胸の強化、脚の後方巻き上げにハムストリングスの強化を。