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筋肉を成長させるためには目覚めさせてから継続してトレーニングが必要

筋肉成長のプロセス筋肉成長のプロセス
マシントレーニングなどをはじめると、筋肉はどのように成長するのでしょう?
運動を発動するすべての根源は筋肉にありますから(筋肉が身体の重量に占める割合は40 %)、成長のプロセスを知ることは大切です。これについては、筋肉は急激に肥大するというよりは、「神経系の適応」とともに大きくなります。神経と筋肉はつながっているため、筋肉は脳からの指令を受けて動作が開始されます。

つまり脳指令から神経系の動員が始まり、それに伴う筋線維の動員率が上昇して、さまざまな動作が可能になります。トレーニングを休まずに続けている人ほど、多くの筋肉を運動へ利用することができ、徐々に力強さがアップします。これを「神経系の適応」といいます。いわば、「筋肉を目覚めさせている期間」で、数週間ほどかかります。「神経適応期間」とも呼ばれています。

トレーニングをさらに継続していくと、「目覚めさせている期間」を通り越し、1ヵ月程度で筋断面積が大きくなるという「筋肥大期間」に入ります。さらなる筋力アップやボディコントロールを実践するには、そこからまた2-3ヵ月ほどが必要です。「あらゆる筋肉が動員される仕組みが形成され力強くなり、筋肉が締まるところは締まり、大きくなるところは肥大し、あらゆる体型変化のコントロールが可能」という段階を追って、筋肉は「成長」をみせます。




筋肉を鍛えるとどのような効果があるのか
次に筋力トレーニング実践で得られる効果についてみていきましょう。
①体脂肪を減らし、基礎代謝アップへ貢献
②悪玉コレステロール(LDL)の減少に貢献
③糖尿病予防に貢献
④一部のがん(大腸がんなど)に対抗できるプラスの影響をもたらす可能性
⑤若返り一-理想の身体づくりへの貢献

まず①について。筋肉がエネルギーを利用して熱を発生させるという役割を最大限に生かすと、この効果が表れます。筋肉は身体の中でエネルギー消費が最大ですから、ここを鍛えることで、基礎代謝量を上昇させ、熱発生率を高め、脂肪燃焼を促し、シェイプアップをすみやかに行うという仕組みです。

次に②ですが、2種類のコレステロール(HDL:善玉コレステロール/LDL:悪玉コレステロール)のうち、LDLは動脈硬化などを引き起こす可能性があるマイナス要素。しかし、3ヵ月ほどの筋力トレーニングと20分間のウォーキングを組み合わせた実験で、血液循環が良好になり、HDL上昇・LDL減少、という研究報告がありました。

③の糖尿病との関連について。糖尿病は、すい臓で生成されるインシュリンというホルモンの作用不足による、高血糖状態=慢性の代謝異常のことです。これに対し、食事制限と、基礎代謝を引き上げる筋力トレーニングの実践で、改善効果が期待できるとの見解があります。筋肉のインシュリン感受性を高めるために、比較的大きな筋肉である大腿部・胸・おしり・腹周りを中心としたトレーニング実践が推薦されています。大腸がんは食習慣と強く関連しています。

消化物が腸に滞留するとがんになりやすいという見方もありますが、腸の蠕動運動を筋力トレーニングで活発化させると、消化物の滞留時間を短縮させることができます。ある程度の予防には貢献する可能性がある、との見解です最後に加齢に伴う筋肉の減少を食い止めること、そして若返りを図りながらもボディメイキングをすることが可能だ、というものです。

加齢とともに身体全体で筋力の低下は起こりますが、一様ではありません。個人差はありますが、太ももや2の腕の筋肉は落ちやすい、と感じている方も多いのではないでしょうか。それを裏付ける研究成果もあります。いくつかのきんこう筋の筋厚について超音波装置を用い、さまざまな年齢の被験者を調べたものです。

これをみると大腿前面(大腿四頭筋)、上腕後面(上腕三頭筋)などでは、加齢に伴い著しく筋厚が減少しています。しかし大腿後面(大腿二頭一筋)や上腕前面(上腕二頭筋)などでは大きな低下は見られません。いずれも、30歳くらいをピークとして、徐々に筋肉の萎縮がはじまることがわかります。

ところが、トレーニング方法が格段に進歩した現在、中高年や高齢になっても、筋力トレーニング実践で、筋力アップや筋肥大が起こることが、研究で確かめられています。たとえば、55歳女性に3力月間、大腿部位の筋力トレーニングをしてもらい、その前後で大腿中央部のMRI画像の撮影比較をした研究があります。トレーニング後に筋肉(黒い部分)が増えているのがわかります。これは、筋力トレーニングによって筋肥大が起こり、筋断面積が増加したことを示しています(筋断面積が膝の伸筋で約13%、屈筋で約11%増大、筋力は約14%増加)。
よって筋力増加のほとんどは、この筋力トレーニングによる筋肥大に起因する、と考えられます。このように、中高年に達したとしても、ジムでの筋力トレーニングによる筋肥大は、可能なのです。


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