一流選手になるためのに自分を客観的に評価する方法
あなたは自分をどれだけ客観的に評価できるか
突然ですが、ひとまず「私は○○だ」という文章を20通り書き出してもらいたい。一枚の紙に右から順に、頭に浮かんだ文章をそのまま書いていくのだ。
制限時聞は20分が目安だが、時間を少々オーバーしてもいいので、とにかく20通りの文章をつくる。
さて、果たしてあなたはスムーズに20の文章を書くことができただろうか。これは「20答法」という。
これは、アメリカの心理学者マンフォード・クーンが考案した投影法の一つで、答えを自由に書き出してもらい、そこからその人の性格や潜在的な欲求を推測するというものだ。
クーンの研究によると、ほとんどの人が5番目あたりまでは迷いもなく順調に文章を書くことができるという。ところが、書き進めるにしたがってスピードが落ちはじめ、15番目あたりになると書くことが思い浮かばなくなり、次第に筆が進まなくなる。
それは、「これを書くわけにはいかない」「私が○○であるはずがない」といった内面での葛藤がはじまるため、文章が書きにくくなってくるからだという。
実はこのテスト、まさにその書きにくくなった箇所に隠されている、抑圧された本当の欲求を判断するためのものなのである。本来、こうした分析は専門家が行なうものだが、その簡単な方法を一つだけ紹介しよう。
まず、20の文章を、客観的事実を述べたものと主観的判断からなるものとに分ける。たとえば、「私は男性(女性)である」「私は昭和○○年生まれである」といった文章は客観的事実を述べたもの、「私はお酒が好きである」「私は気が強い」といったものは主観的な判断による文章と分類される。なお、自分の名前やニックネームを書いた文章はここでは除いて考える。
ほとんどの場合、文章は客観的事実から書きはじめられ、途中で主観的判断に変わるが、その変わった文章が何番目かによって、どれだけ自分を客観的に見ているかということがわかるという。この番号が後になればなるほど、あなたは自分自身を客観的にとらえているのだ。
こうして、20の文章の全体像を眺めたり、あるいは文章を存ひとつひとつ分析することによって、あなたの関心の強さや考え方、コンプレックス、価値観、人生観までを読み解き、あなたを客観的に知ることができるのだ。
もちろん、文章の内容は何ら制限していないので、そこに書かれたものは客観的であれ主観的であれ、すべてあなたが自覚しているあなたの姿でもある。
自分を客観的に静価するトレーニング
さて、スポーツの世界でも、自分の実力を正しく客観的に評価できたり、自分のプレーを客観視できるということは、一流になるために大切な要素となる。
たとえば、戦術一つとっても、相手選手の実力は客観的に評価できるので、「相手のこの弱点をこのように攻めよう」というプランはすぐに立てられる。しかし、自分がその戦術プランどおりにプレーができるだけの実力を持ち合わせているのか、という客観的判断ができない選手が実に多い。
また、自分ではとのような感じで体を動かして、このようなプレーをしているはずだという主観的な感覚を持っていても、客観的に見てみると、実際は自分のイメージと異なっているというケースも少なくない。自分の主観的な感覚と客観的な評価を、バランスよく自分の中で消化できる選手が一流となり得る。
そのためのトレーニングは、何も特別なものではない。しかし、ちょっとした意識の差が、後になって大きな差となって現われてくるので、絶えず意識して取り組んでいってほしい。