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筋肉の負けずぎらいをうまく利用して限界を突破するトレーニング

筋肉は負けず嫌い例外なんて、ありません。あなたの筋肉も、私の筋肉も、そしてすべての人の筋肉は、みんな「負けずぎらい」です。
負けずぎらいというのは、自分に向かってくる強い力や重さが、自分の能力以上のものであっても、それに抵抗しようとする性質です。

たとえば、重さ30キロのリュックしかかついだことのない登山家が、あるとき40キロをかついで山登りを計画して、100メートルも登らないうちにパテてしまったとします。するとこのとき、登山家の筋肉は、何を思うか。「次に40キロのリュックがきたら、今度こそ負けないぞ」と思うのです。

もちろん、思う、という表現は不正確です。意識的に思うわけではなく、筋肉は自然に、40キロにたえられるような筋力にレベルアップしようとするのです。これは、としての人間にもともと備わっている、自分の生命を守るための防護機能のひとつと考えられます。

別ないい方をすれば、苦しい状況を体験していくうちに、どんどん強くなっていくということです。これは筋力にかぎらず、私たちの精神面についても、同じことがあるようです。
ともかく、こうした性質をじょうずに利用して、計画的に筋力のレベルアップをめざすのが、筋力トレーニングです。


では、負けずぎらいの性質を、じょうずに引き出すためには、どのようにすればよいか。そのためのキーワードとなるのが、「いつもよりややきつく」です。

説明では、登山を例にとり、わかりやすくするために、リュックの重さを30キロから40キロにしたと書きましたが、実際には一挙に10キロも増えるのは、筋肉にとって、いつもよりかなりきつい試練です。

もし、30キロが限界に近かったとしたら、プラス10キロというのは、限界をはるかに越えるもので、筋肉は負けずぎらいを発揮するどころか、逆に弱音をはいてしまいます。「とんでもない、こんな重いもの。持てません」と。ちょっとむずかしく生理学的にいえば、筋肉を構成する組織である筋繊維がズタズタに破壊さん筋肉と骨とをつなぐ腱が炎症したり、場合によっては骨折することもあります。

そこで、「いつもよりかなりきつく」ではなく、 「いつもよりややきつく」という考え方が必要になります。30キロから急に40キロにするのではなく、 31キロにするのです。すると筋肉はがんばれます。30キロが限界だった筋肉は、30キロを背負わされたときに、自ら努力するのです。

するとそのうちに、その筋肉の限界が31キロになります。「いつものきつさ」が、31キロになるということです。その時点で今度は、やはり「いつもよりややきつく」します。31キロを土台にして、32キロに挑戦させます。これをくりかえして、限界をのばしていくのです。「負けずぎらいの性質」を引き出すために、「いつもよりややきつい」状況をつくり、「パワーの限界をのばしていくこと」こそが筋トレのキホンとなる考え方です。

高負荷低回数は中級以上で、ビギナーは低負荷高回数で筋力トレーニングで瞬発力を高めるためには、最大筋力の3分の2以上の重いウェイトを使い、15回以下の少ない回数の運動を行なうことが必要です。

しかしそれは、トレーニングを積んだ中級者以上の人にあてはまることで、ビギナーにとってはムリがあります。ビギナーが突然重いウェイト、少ない回数ではじめると、筋肉や腱、靱帯を痛めかねません。

また、トレーニングフォームを十分にマスターしていないうちに重いウェイトで行なうと、ほかの筋肉を使ったり、反動を利用したりして、ウェイトを上げようとするので、期侍する効果が得られにくくなりがちです。

筋力トレーニングというと、とにかく重いウェイトを上げられるようになりたいと考えがちですが、あせる気持ちをおさえて、まず軽いウェイト使い、正しいフォームを身につけることがたいせつです。また鍛えたい筋肉に意識を集中ししながら運動ができるようになることも重要です。

したがってビギナーは、最初からトレーニング効果を望んではいけません。まず軽いウェイトのトレーニングからはじめ、二日おきぐらいをトレーニング日とし、約1か月程度をかけて筋力トレーニングになじみます。そして、それから少しずつ本格的なメニューに移るようにします。


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